ここで人生を育む――桜島を望む、機能以上の意味があるモラトリアムな住まい
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ここで人生を育む――桜島を望む、機能以上の意味があるモラトリアムな住まい

住まいとは「暮らし」とその先の「死」すらも内包する、人生そのものを支える空間なんだとはっとします。

目の前に広がる海と桜島の雄大な眺め。

穏やかな時間が流れるこの場所で仕事を通じて弊社と深く関わり、家づくりにおいてもその想いに共感してくださったお二人。

お引渡しの際「ここで死ぬ自分が想像できる」と涙ながらに語られた姿に、建物だけではない本質的な私たちの在り方が認められたような深い喜びを感じました。

ときに内省や遊びが生まれ、ときにひと呼吸のため立ち止まれるこの場所で、共に「生きる」をつくっていきたいと、私たちもそう願います。

人生の折々を包みこみながら、静かに、しかし確かに「暮らしを育む」I様邸のご紹介です。

暮らしにはユーモラスを!機能以上の意味を持つモラトリアムな空間

キッチン横には子供の宿題や家事のちょっとした休憩に最適なカウンタースペースとラック。

ラックは実は扉になっており、開閉するとトイレに繋がるという遊び心! 単なる通過点ではなく、心がほどける“機能以上の意味”を宿しています。

夫婦それぞれの書斎は眺望と機能性のどちらも重視

真正面に桜島を望む窓配置はこだわり。 これからはここが「ただいま」の景色に変わっていく。

外観から見た窓配置。 夫妻それぞれの書斎からは美しい緑と海が広がる。

作業にちょうどいい造作のカウンター。

デスク横には造作の棚も設置。 裏から固定されているので、災害への備えもばっちり。

木の温もりだけではない細部に宿る暮らしの中の“思いやり”

ランドリールームは広々3.5帖。収納も多く共働き夫婦にはうれしい動線。

パントリー、階段下収納、冷蔵庫置きが一体となったスペースも扉をつけて生活感に配慮した配置。 忙しくも子供との時間を大切にされるご夫婦の暮らしに想いを寄せる。

手に馴染む造作手すりが美しい階段。 大工さんの丁寧な仕事と配慮が感じられます。

帰り道のご褒美。植栽たちの玄関先での静かなドラマ

つい忘れがちなのは夜の佇まい。 植栽や照明の位置で年を重ねても馴染んでいく風景を考えるのもポイント。

夜、そっと浮かび上がる植栽の影。 玄関ポーチに映るその姿が、日中とは異なる表情を添えます。

-USER VOICE-

お仕事を一緒にさせて頂く中でリスクを背負いながらも、「暮らしごとつくる」「未来をつくる」を体現している姿に一緒にこの場所で生きていきたいと思ってお願いしました。

都市にいるときはここで定住するなんて思ってもいませんでしたが、この場所で最期の景色を見る自分が想像できます。

心をどれだけ込められているか。日頃のコミュニケーションや棟梁の丁寧な仕事で素人なりに受け止めています。

この家を大事に住み継いでいきます。こんな素敵なお家を建てて頂いてありがとうございました。